下手の横好き語学学習日記


by telescopio

アペリティフ

日本でアペリティフというと、普通食前酒のことをさすけれど、フランス語では、むしろ(食前に)軽く飲みながらおしゃべりを楽しむこと、転じてカジュアルなパーティー、というか軽い飲み会(概ね立ち飲み)を意味し、この意味では略して(?)アペロとも言う。

昨今のフランス、Facebookで「○月○日、△△広場でアペロしよう!」などと呼びかけ、誘い合わせて知らない人がたくさん集まるアペロが流行っているそうで、先日、人が集まりすぎて大混乱となり、酔った人が橋から転落し、ついに死亡事故が起きた...という記事を、ちょっと前のフランス語のレッスンで読んだ。
今日のレッスンの題材は、その関連というか、またアペロネタの記事だった。
”Pinard et saucifflard”...(安)ワインとソーセージという意味だけど、こう銘打ったアペロの呼びかけが、パリ18区の La Goutte d'Or (金の滴)地区で、”生粋のフランス人”によってなされ、人種差別SOSという組織への挑戦とみなされた。
なぜなら、ここはとてもイスラム教徒の多い地区だから。



呼びかけたシルヴィ・フランソワという女性は「もううんざり」ということを表現するために、このアペロをするのだと明言。
Fasebook上の”ワインとソーセージの大アペロ”グループは、3,800人を集めている。

このシルヴィという人、地区のある通りが、金曜になると礼拝のたびに交通が寸断される(多分お祈りする人が道にあふれるんだろう)ことを、宗教目的のための公道の私物化と受けとめ、生粋のフランス人である自分が、生まれたときから住んでいる地区で、ブルカをしていないためにジロジロ見られたりすることに、かなりうんざりしている。
多分、彼女が生まれた頃のこの地区は、今ほどムスリム人口の高い地区ではなかったんだろう。
それが長じて文化・宗教・習慣の異なる移民の多い地区となり、自分の国なのにマイノリティーと化して、なんとなく肩身の狭い思いで暮らしているというのは、確かに理不尽に思っても不思議ではない。

これに対し、人種差別SOSの会長ドミニク・ソポは「これは挑発である。反アラブ・反ムスリムのあからさまな対立の論理だ」とラジオで憤慨。
共産党サイドでは「人気があるわけでも祭でもなく、無宗教でも民主主義でもない。嫌われ者、暴力と人種差別の集まりだ」などど警鐘をならした。

さらに、これに反発するように「ハラールとミントティーのアペロ」の呼びかけまでおきた。
...どんな”アペロ”だ。
それは飲み会じゃなくてお茶会でしょう。

Facebook上でも議論は続く。
「私の村では、毎年夏のお祭でキャベツとベーコンのスープがふるまわれるけど、一部の人が豚肉を食べないからって、それを禁止できる?」
「ワインとソーセージのアペロが人種差別的で挑発的で、ハラールとミントティーのアペロは素晴らしいという理由を、誰か私にも判るように説明してよ」

フランスは、旧植民地アルジェリアへの対応を誤った過去もあるし、移民政策が朝令暮改してマグレブ移民を大いに振り回した経緯もあり、政府の移民対策はいまひとつ煮え切らない。
近年、公立学校でのムスリマのスカーフ着用禁止(正確には、特定の信仰を誇示するシンボル着用の禁止。キリスト教徒の大きなロザリオなどもダメ)が物議をかもしたことは記憶に新しいけれど、事態はいろいろな問題を巻き込み、さらに混沌の度合いを増していくように見える。

以前、友人が学生時代にフランスに行ったとき、ビザが必要だったと聞いて驚いたことがあるけど、それはちょうどアルジェリア系移民の暴動が続いていた時期で、期間限定的な措置だったと最近知った。
いろいろな意味で、比較的戒律のゆるい本国に住んでいるムスリムと、非イスラム国に住んでいる(特に移民の)ムスリムは違う。
モロッコで、フランスに語学留学中の日本人女性が「フランスではマグレブ移民への差別がけっこうある。こんないい人達なのに差別しないで欲しい」と言うのを聞いて、なんちゅーナイーブな意見かと気が遠くなったことがある。
フランス滞在が長くなると、自分の立場も忘れて「マグレバンは国へ帰れ」とか言い出す日本人も多いと聞くので、そうならないで欲しいと切に思った次第である。

この記事に出てきた言葉で、興味を引いたもの。
haineux えぬ、と読み、嫌われ者の意味。えぬ...音も変だし、パッと見では複数形みたいだけど、これが原形。
manifestation マニフェスト...ではなく、集会の意味。
charcuterie 食肉加工食品。私の電子辞書では豚肉加工食品と訳が出たけど、別に豚に限らないそうだ。先生が「羊とかロバとかのソーセージもシャルキュテリーだよ」と言ったので、またびっくり。ロバって食べられるんですか。
Française de souche 生粋のフランス人(女性)。生粋の、というか、フランス起源の?原産の?
ここで言いたいのは、国籍がフランスだということじゃなく、血統的にフランス人であるということ。移民2世は、世代にもよるけど大体フランス国籍持ってるから。日本語ではこういうとき何て言うんだろうね。
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by telescopio | 2010-06-16 23:43 | フランス語