人気ブログランキング | 話題のタグを見る

下手の横好き語学学習日記


by telescopio

やっと一周?

水曜日に習った義務の表現「~しなければならない」。
意外にも、これは希望や可能の表現と違い、英語でいう must にあたる部分は、主語に関係なく不変であった。
(関係ないけど、英語でも must って過去形がないというか、一切の変化をしないよね。なんでかしら?)
しなければならない内容の動詞は、やはり人称変化し、活用は他と同じく未完了体接続形。
 彼は学校へ行かなければならない
 yajibu 'an yadhuhaba 'ilaa lmadrasa(ti)
 私は学校へ行かなければならない
 yajibu 'an 'adhuhaba 'ilaa lmadrasa(ti)
最初が不変ときいただけで、なんだか突然ラクになった気持ち(笑)。
が、やはりアラブ人にとってこれは座りが悪いのか(?)、共通の yajibu の後に、主体(誰の義務なのか)を示す言葉を入れる言い方があり、そちらがよりアラビア語的で格調高いらしい。
それなら、なんで最初から人称変化しないんだろう?
これはもしかして、文法上の主語は、動作の主体ではないのかも...。






まあ、それは後のお楽しみにとっておくとして(今聞くと混乱しそう)。

義務の主体は、前置詞 Aalaa のあとに、その人の固有名詞を置くか、人称代名詞の接続形を置くかして、示す。
 ムハンマドは、学校へ行かなければならない
 yajibu Aalaa muHammadin 'an yadhuhaba 'ilaa lmadrasa(ti)
ムハンマドは固有名詞だが、前置詞の後なので属格になり、ムハンマディン、となる(ただし、外国人の名前は、基本的には変化させないので、ハナコがハナキン、にはならない)。
名前を出さずに「彼は」と主体を示して言うなら
 yajibu Aalayhi 'an yadhuhaba 'ilaa lmadrasa(ti)
となる。

ここで注意するのは、「彼」の接続形は、普通は「hu」だけど、前に来る単語が、たとえば名詞の属格だったりして「イ」の音で終わっていると、それに引っ張られて「hi」になる、という点。
ここで前にきている前置詞は、元は「アラー」なんだけど、後ろに人称代名詞がくるときは「アライ」と音が変化し、最後が「イ」なので、「彼」の「フ」も「ヒ」になる。
そして「私」の接続形は、簡単に言うと「イー」なんだけど、これも「アラー」とくっつくと「アライヤ」になる。
何でそういうことになるかと言うと、この「アラー」の最後の長母音はアリフではなく、アリフ・マクスーラといって、ヤー(y)の点が取れた文字を書き、この文字は単語の最後にしか使わないので、後ろに何かがくっつくと、突然点をつけてヤーになってしまうという、壊れぶり(マクスーラとは、壊れた、という意味)。
ヤーという文字は、前の母音が「イ」のときには「イー」という長母音を表すが、前の母音が「ア」だと、あわせて二重母音の「アイ」となる。この「アラー」→「アライ」がまさにそのパターン。
このアラー、前置詞としての意味は、英語の「on」又は「upon」であり、無理に訳せば、~の上に義務がある、といような意味になるのかもしれない。
彼の上に「アライヒ」、彼女の上に「アライハー」、貴男の上に「アライカ」、貴女の上に「アライキ」、私の上に「アライヤ」、あなた方の上に「アライクム」。

ここでやっと最初に戻る。
アラビア語の挨拶「アッサラーム・アライクム」の、アライクムだ。
クムは2人称複数だが、丁寧に「あなた」と言うときにも使い、アッサラームは peace に定冠詞のついた形だから
 the peace upon you。
 あなたの上に平安あれ。
この言葉は、こういう構造になっていたわけだ。
うーん、なんか一つ到達感が...って、今回のポイントの「義務」とは関係ないんだけど。
by telescopio | 2005-07-31 22:44 | アラビア語