下手の横好き語学学習日記


by telescopio

ほんのり衝撃...

d0018759_2365849.jpg香水とかアロマオイルとか、香りの良いものが好きなので、とても面白く読んだ『調香師の手帖』
自然の香の成分やその分析の話、嗅覚のこと、商品としての香りを作るときの問題点、香りの歴史、いろんな方向から香りについて語られ、日本の香道に関する話もあり、読んでいるだけで知的で優雅な遊びをしている気分になる。
ローズウォーターの変遷では、古代ギリシャにすでにローズウォーターはあったものの、それは単に花弁を水や油に浸して香を移したものであったようで、蒸留器を発明したのはアラブ人である、という話が出てくる。
著者は、今もアラブ人にとって香は重要な文化であると書いているが、まったくそのとおりだと思う。
アラブ世界のスークに行けば、ほとんど必ず香油の店があって、次から次へと香をためさせてくれる。そして香油の店は多くの場合、モスクの近くにある。香が神聖なものとみなされているためだ。




年末のチュニジアでは、南部のドゥーズでサハラ・フェスティバルを見たが、民族衣装を着てターバンを巻き、素で勝負するときの7割増しくらいになったチュニジア青年達(笑)が、馬やラクダに乗って「これで砂漠を走ってみませんか」と客引きをする姿を見た。
そして彼らが通り過ぎるとき、たっぷりした衣装の裾がヒラリと翻ると、ほんのりバラの香がすることが何度かあった。
それは、香水や香油ではない、ローズウォーターの香だった。
これ、ヤバイよ(笑)。
その直後に「ハッロ~♪マダ~ム、ジャポ~ン?」とか軽薄そのものの声がかかるので、今の私は「夢を壊すな!」と思うけれども、若く夢見がちな頃の私(そういう時もあったの!)だったら、壊してもらって助かったに違いない。

さて、この本の中には、体臭の話も出てくる。
中国の有名な香妃の伝説では、この女性は類稀な美貌に恵まれただけでなく、その体から素晴らしい芳香を発していたとされる。また美女の代名詞楊貴妃も同様に、挙体芳香でも知られたそうだ。これは一体どんな香だったのか。また人体から芳香が漂うなどということがあるのか。
ここで大変興味深く、かつ日本人としてほんのりと衝撃的に感じる科学的データが示される。
体臭というのは、アポクリン腺から出るにおいのある汗に大きく左右される。それは大体の人が知っていると思うし、人種によって、体臭が違うというのは何となく判っているだろう。
アポクリン腺の数は、白人より黒人に多く、東洋人は少ないというが、これも何となく予想できるような気がする。問題はその先。
日本人は、黒人や白人と比べると腺の数はきわめて少ないが、中国人よりは多い。
そして朝鮮半島の人には、ほとんど腺がないそうだ。
ガガーン。
東アジア三国で、日本人は一番体臭の元になるものを多く持っていたわけか。
もちろん、実際にそれが悪臭になるjかどうかは、食生活や入浴習慣、気候条件なども絡んでくるわけだけど、う~ん、そうだったのか...。
そこで香妃の話に戻り、カシュガルの出身であった彼女は、胡の国(=欧州系民族)の人として、漢民族にはなじみのない体臭があった可能性が高い。また、征服地から美女を後宮に召し抱えるのはよくあることで、胡の国の体臭の強い美女が後宮に多く入れば、そこから母のにおいとして体臭を必ずしも不快に感じない皇帝が生まれることもあり得る。だから、香妃や楊貴妃の芳香というのは、実は体臭、もっといえば腋臭だったのでは...という、またしても夢を壊すような結論に至る。
むむむ...。
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by telescopio | 2009-01-28 23:45 | 読書