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下手の横好き語学学習日記


by telescopio

建築と旅

建築と旅_d0018759_1939317.jpg2年前の本だけど、最近読んだ『旅。建築の歩き方』
9人の建築家へのインタビューと、22人の建築家からのアンケート結果からなる本で、建築の視点を持った旅がテーマ。
基本的に建築を学ぶ学生あたりを読者層に想定しているようで、門外漢には判りにくい部分や、知らない人名もけっこう出てくるけど、そのへんの解説はない。こっち系の人には常識なんだろう。それと、やり取りの中で現代思想にも踏み込んでる人もいて、私の苦手な分野(判らないというより判りたくない)なのでちょっと引いたり(笑)。でも、面白い本だと思う。
皆さん若い頃の旅を中心に語っているけど、ほとんどの人が「良かった」と言っているのが、アルジェリアのガルダイヤ。やっぱりそうですか。
ここは名高い建築家ル・コルビュジエが絶賛した集落で、建築をやってる人ならたいてい知っている。なので旅行なんかまったく興味ないって人と話していて、突然「え、アルジェリア?ガルダイヤのあるところ?」なんて言われることもあったりして。
確かに写真で見てもすんばらしいので、そりゃ行ってみたいと思うのだけど、旅行が好きとかイスラム圏が好きとか、その種の大勢の人間が、何年も焦がれてなかなか行けずにいるところに、興味もなかったような人が調査事業で行って「良かった」なんて言われると、ちょっと悔しかったりして(笑)。
ただ、好きで旅行している人は起きてしまったトラブルも楽しんだりネタにしたりするけど、基本的にトラブルを減らす方向に動いているわけで、これが仕事となると、いかにもトラブりそうなところに、トラブりそうな時期に行かざるを得ないこともある。なので下手な旅行者より経験値が高かったりする。
旅行は本来趣味というか遊びなわけで、避けられた筈のトラブル(その時期、その場所に行く必然性があったのか?など)で人に迷惑かけた話しを、まるで武勇伝のように語るようなイタイ人に読んでもらいたい面も。
読んで「面白そうだな」と思ったのは、ウルグアイのモンテビデオと、タジキスタンのホログ。



建築と旅_d0018759_201664.jpgあわせて、建築と旅に関わる本を少しご紹介。
これは名著と思う『インド建築案内』。なぜか版元はTOTO出版。
アメリカとかヨーロッパとかも出てるけど、インドが抜きん出て良く、ロシアも悪くない感じ。それが編集のせいなのか、建築そのものの面白さ(私にとっての)なのかは、ちょっとなんとも言えないけど。
この本の良いところは、たとえば西インド地域の建築が素晴らしいなぁ、と思うと、ちゃんと西インドの交通案内が載っているのだ。ガイドブックではないので、これ1冊で旅行に行っても困ると思うし、アップデートされてないので間違いの元かもしれないけど、触発されて見に行きたくなった人のことを考えてあるのは素晴らしい。少なくとも公共交通機関で行けそうだと判れば、それからガイドブック見たっていいんだし。
去年の秋『中国歴史建築案内』というのも同じシリーズから出たけど、これは中国精華大学の先生が書いたものが原著で、中国ではロングセラーらしい。
だから、シリーズといってもそれぞれ原著があったりするので、全巻統一した方針で編集されているわけではない。それでも豊富なカラー写真と詳しい解説は全巻共通だし、コストパフォーマンスも高く、買って損はないと思う。

建築と旅_d0018759_2016965.gifもう1冊。本好きの所有欲をくすぐる『WANDERING KATHMANDU』。シリーズ?で『ノスタルジア・ブータン』というのもあるけど、私はカトマンズの方が好き。
この本は、出版関係の人はたいてい「この紙と装丁で、この価格でペイするのか?」と言う。図版とカラー写真を多用し、全ページカラーで1,800円。そうそう売れるような内容でもないしね(笑)。でも、手に取ると欲しくなるんですよ。
カトマンズは独特の気品のある街で、空気の悪ささえなければ、すぐにでもゆっくり行きたいところ。
版元は建築知識という会社だけど難しい話は出てこないし、紀行文的にも読めて、行ったことのある人なら、ページを開けばカトマンズの旧市街のざわめき(と空気の悪さ)がよみがえること間違いなしです。
by telescopio | 2009-03-22 20:29 | 読書