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下手の横好き語学学習日記


by telescopio

tout le monde vole

今日のフランス語のトピックは、先生がどこかからみつけてきたニュース。
ニュースソースがどこか書いてなかったけど、中身はある意味、大変興味深かった。
かつて、添乗員泣かせの欧州の空港といえば、英国のヒースローとフランスのシャルルドゴール(CDG)が東西の横綱であった。
何に泣かされるかと言うと、預け荷物の紛失である。
ロストバゲージはまだいい(あくまで比較の問題)。多くの場合、追跡できるし、時間はかかっても戻ってくることも多い。
問題は、スーツケースはちゃんと出てきて、鍵もかかった状態なのに、中に入れた高価なものがなくなること。これが両空港で、かなり多かった(ロストバゲージもね)。
ヒースローでは、15年位前に、地上職員が100人以上逮捕されたことがあり、日常的に高級ブランドのスーツケースを開け(以前は簡単に開いたらしい)金目のものを抜いていたと報道され、業界に衝撃を与えた。
で、今日のトピックはCDG。
手口は書いてなかったけど、荷物を飛行機に積み込んだり逆に降ろしたりする職業を、フランス語ではバガジストと言うそうだが(スーツケースがバガージュなので、その派生語か?)トラックピストという会社のバガジスト19人が、組織的に客の荷物(PC、ipod、香水、宝飾品など)を盗み、売りさばいていた罪で起訴されたそうだ。その被害額、約45万ユーロ...って、いくらよ?今ユーロは、えーと...え、136円?すごい下がってる!




...という話じゃなくて。
この逮捕劇は、2004年以降で最大の掃討作戦だと、空港の関係筋は語ったそうだけど、2007年には、空港に寄せられた苦情は621件に登り、それは2006年に比べて24%増だという。
ひー、おそろしや。

そういえば、私も経験があるぞ、CDGの窃盗(未遂だったけど)。
フィンランドに行ったとき、行きはロンドン経由で、ヘルシンキに着いたら荷物が着かず(単なる積み残し)、帰りはパリ経由で、成田に着いたらスーツケースの鍵が壊されていた。
さすが東西の横綱だよ、という感じ。
スーツケースは、二つある鍵穴のうち、片方がドライバーか何かでこじ開けようとしたような壊れ方で、結局開かなくてあきらめたようで、中身に被害はなかった。
万一被害があった場合、カバンの破損はカバーするけど、中身は航空会社は免責である。皆さん、よく覚えておいてください。
ただ、航空会社で盗難証明は出せるそうで、旅行保険に入っていれば保険請求が可能。
私は成田のJALの事務所に行って(JAL便だったので)スーツケースを見せて事情を説明したところ「この場で中身の被害を確認してください」と言われたんだけど、何せ鍵が壊れていて、開かなくて(^_^;)。
仕方ないので、ほぼ叩き壊すというのに近い開け方をして確認した。ま、何せ開かなかったくらいなので、中身はまったく異常なし。
ただ、その後千歳まで飛ぶ必要があったので、鍵が使えなくなったスーツケースは、JAL JAL JAL JAL...としつこくプリントされた赤白のビニールテープでぐるぐる巻きに。
帰宅後中身をカラにして、指定された修理会社へ着払いで輸送。後日鍵をつけ換えられて、戻ってきた。
あのときも、JALの職員さんが「ああ、CDGですか...多いんですよね」と言ってたっけ。

しかし冴えているのが、この容疑者の裁判。
ある人物は「tout le monde vole à Roissy」と言ったそうな。裁判の場で。
Roissy(ロワシー)というのは、CDGの別名というか、空港のある町の地名で、地元ではむしろこちらで通っているらしい。 tout le monde は皆。
vole は、動詞 voler の活用形で、これにはふたつ意味があり、ひとつは盗むこと、もうひとつは飛ぶこと(フライトを含む)である。
「CDGじゃ、皆盗みをはたらいてる(飛んでいる)さ」という掛け言葉...というかダジャレ?になっている。
裁判の席で...フランス人、恐るべし。
by telescopio | 2008-10-09 00:04 | フランス語