すみません、とっても真面目な本でした。
いや、ふざけた本だろうと思ってたわけじゃなくて(どんな本だ)もうちょっと軽い語学エッセイ的なものをイメージしてたんですね、漠然と。
そしてこれ、翻訳もので、原題は『A History of Writing』。つまり、文字に限定した話ではなく、表記そのものの歴史について書かれた本だった。
面白いか面白くないか、と聞かれれば面白いのだが、最低限、一般教養レベルの言語学の知識がないと、かなり難しいと思う。
そこをクリアしたとして、日本人的に面白いのは、やはり東アジアの文字の説明だろう(知らない文字のことを説明されてもイメージできないからね)。
中国語のラテン・アルファベット表記(ウェード式からピンインへの転換にもふれている)、韓国やベトナムが漢字から表音文字に変わった経緯などの流れから、日本語もそうなるかというと、日本人は別に不自由を感じていない、という話はまったくその通りだと思う。
この著者は英語が母語だけれど、幼少時に沖縄に住んだことがあり、日本語の知識がある。そして日本語について「これまで地球上に存在した文字のなかで最も複雑な文字によって表記される」と書いている。もちろんひらがな、カタカナ、漢字の3つの文字体系併用システムのことを言っているのだけど、さらに踏み込んで「日本文字の複雑さは日本社会の複雑さそのものを反映している」とまで...そりゃフライングでしょ(笑)。
同じ著者で『ことばの歴史』という本もあるけど、まとまった時間のあるときじゃないと読めないかも。
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